日本の出生率は年々下がり続けています。この背景にはいったい何があるのでしょうか。一般的にいわれている理由だけでなく、おもてで語られないみんなの本音とは…?
子どもを持たない選択をした人が感じているプレッシャーや、幸せになるための選択肢についても一緒に考えていきましょう。
1970年代後半から日本の出生率は下がり続けている
厚生労働省の調査によると、1970年代前半の第2次ベビーブームが終わった1970年代後半から近年まで、日本の出生率は下がり続けています。実際、ニュースをみていても「少子化」という言葉をよく目にしませんか?
少子化問題に対していろんな対策や取り組みがおこなわれているけれど、出生率はなかなか上昇しません。その理由には何があるのでしょうか。一般的にいわれている少子化の原因やおもてでは語られないみんなの本音を掘り下げていきましょう。
参考:厚生労働省「図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移」
女性の社会進出が出生率に関係している?
日本では労働力不足が長年問題視されています。そして、男女雇用機会均等法の成立、労働力不足の解消という2つの側面から、女性が社会進出するようになりました。近年では、女性が働くことに違和感を持つ人はほとんどいないでしょう。
ただ、一見労働力不足の解消につながっているように感じられる女性の社会進出が、実は労働力不足を加速させていると知っていましたか?
女性が社会進出をする、でも仕事と子育てを両立するには支援体制が整っていないし、子育てで仕事を離れているあいだ所得がなくなると生活が苦しくなる…
こんな背景から、結婚しても子どもを産まないという選択をする女性は多いのです。結果的に将来の労働力となる子どもが産まれてこないという悪循環が生まれているみたい…
今の社会じゃ子どもなんて持てない…

かかるお金は増えるばかり、なのに所得は全然増えない。こんな今の社会じゃ子どもを持とうなんて思えないという人は多いはずです。
子どもを保育園・幼稚園から大学まで行かせる場合、すべて公立なら1000万円程度、すべて私立なら2300万円程度が目安といわれています。大学の学部・学科によってはさらに増えるでしょう。
このように、子どもを育てるには莫大なお金がかかります。そして、出産や子育てに関する支援体制は地域によって違うし、すごく充実しているとは限らない…今の社会のままじゃ子どもなんて持てないと考えるのは、ごく自然なことかもしれません。
独身を楽しむ、夫婦の時間を楽しむという新たな選択肢
日本では非婚化・晩婚化が進んでいるといわれています。この背景には、価値観の多様化があげられます。
これまで「結婚が当たり前」「結婚したら子どもを持つのが普通」なんて価値観があったけど、「結婚も子どもも自由でよくない?」という雰囲気が生まれてきました。
たとえば、近年ではあえて結婚をせずに生涯独身という選択をする人が増えています。また、結婚してもあえて子どもを持たない夫婦もいます。理由は人それぞれですが、結婚や子どもに関して自由な選択ができるようになった気がします。
このように、多様なライフスタイルが認められる現代では、出生率が下がることは仕方のないことかもしれません。
子どもを持たないのは悪いこと?———感じる社会からのプレッシャー
ここで、「少子化をどうにか止めよう」といわれている社会で、子どもを持たない選択をした人が感じるプレッシャーについて考えてみます。
たしかに、少子化は解決すべき問題かもしれません。しかし、子どもを持つのはそんな簡単なことではないし、あえて子どもを持たないという選択もアリだと思うのです。
それでも、固定観念から「まだ結婚しないの?」「子どもはいつ?」なんていわれると、子どもを持たない選択がなんだか悪いことをしているようで、プレッシャーを感じる…
このように、子どもを持たない選択をした人は、周りの何気ない声で社会からのプレッシャーを感じていることがあるのです。
「子どもを持たない」という選択は何も間違っていない
「子どもを持たない」という選択をしたとき、社会からのプレッシャーを感じることがあるかもしれません。だけど、あなたの選択は何も間違っていない。だから、自分の選択を肯定してあげてほしいです。
「周りのプレッシャーが…」という理由で子どもを持っても、その人たちが子育てしてくれるわけではありません。それなら、子どもは持ちたい人が持てばいいし、固定観念に流される必要はないと思います。
もし「自分では子どもを持ちたいと思えないけど何か役に立ちたい」と思うなら、職場で子育てしている人のサポートをするだけでも、子育てしている人はきっと救われるのではないでしょうか。
「子どもを持たない」という選択がどんな理由であっても、それもひとつの選択肢です。世間一般の幸せじゃなく、自分の幸せが何かを考えることが大切。自分の幸せにつながる選択をしたのなら、その選択に自信を持っていいのです。
子どもを持つ/持たないが自由に選べる社会へ

日本の出生率は下がり続けています。その背景には、女性の社会進出や社会の厳しい現実、価値観の多様化など、いろんな要因が積み重なっています。
ただ、「結婚したら子どもを持つのが当たり前」という固定観念に息苦しさを感じている人も多いはず。子どもを持たない選択が、あたかも悪いことのように…
だけど、子どもを持たないという選択も尊重されるべきで、あなたの選択は何も間違っていません。あなたの人生はあなたにしか決められない。周囲や社会のプレッシャーに流されず、自分の価値観や幸せを大切にしてください。