恋愛関係を前提としないパートナーを探せるSNSアプリ「フレマ」や、結婚しない生き方・子どもを持たない人生など多様な価値観について発信している「フレマガ」はこれまで、さまざまな生き方や繋がりの形を模索し、提案してきた。
しかし、サービスを運営する過程で、ある一つの問いを抱え続けていた。
「この特別な関係性について、わかりやすい呼称をつけられないだろうか」
夫や妻という言葉では、法的な響きが強すぎる。恋人とも違うし、単に友達や親友と呼ぶだけでは、これからの人生をともに歩んでいく覚悟までは伝わらない。既存の言葉ではどうしてもこぼれ落ちてしまう、私たちが大切にしたい関係性や、そこに込められた思い。その輪郭をはっきりとさせるために、新しい名前をつけることに決めた。
生涯のパートナー、その呼び名は「トモシエ」。
「トモシエ」に込めた、4つの意味
「トモシエ」という言葉には、フレマやフレマガが大切にしている価値観や思いを、いくつも重なり合うように込めた。
- 友(Tomo)
ふたりの関係の出発点にあるのは、恋愛感情や性的な関係ではなく、人としての信頼と友情。お互いの関係性を持続させるためだけの無理を重ねず、対等な存在として向き合える環境が、その土台になる。
- シェア(Share)
喜びや不安、楽しみや悲しみ、そして人生そのものを分かち合うこと。ポジティブな感情やネガティブな思いも、一緒に背負うこと。毎日の暮らしはもちろんのこと、そこから生まれ得る迷いや選択といった心の動きも共有し、ともに決断していく関係。
- 支援(Shien)
寄り添い合い、人生をともに歩んでいくパートナーだからと言って、すべてを理解し合う必要はない。お互いに自立しながらも、必要なときには相談し、支え合えること。一方的に相手に頼るのではなく、言葉を交わし合い、無理のないかたちで助け合える関係を目指す。
- 家(Ie)
それは単なる建物ではない。暮らしが営まれるだけの場所でもない。心が帰れる場所、一人でもいても二人でいても、安心できる居場所のこと。そんなあたたかな居場所を、ともに築いてほしいという願いを込めている。
「友(Tomo)」として出会い、人生を「シェア(Share)」し、「支援(Shien)」し合いながら、「家(Ie)」を築いていく。その一連の営みをひとつの言葉に集約させたのが、「トモシエ」という名称である。
人生を照らす「灯(ともしび)」として

この「トモシエ」に隠された、もう一つの大切な意味。それは、暗闇をそっと照らす「灯(ともしび)」である。
ふとした夜、この先もたった独りで生きていくことに急な不安を覚えたり、人生に立ち止まったりする瞬間があるかもしれない。そんなとき、隣にいる存在が、心を少しだけ明るくしてくれる。
それは、激しく燃え上がるような恋愛の炎ではないだろう。足元を静かに、かつ絶えることなく照らし続ける穏やかな灯火に似ている。私たちが思い描くパートナーシップは、まさにそのような関係なのだ。
なぜ「パートナー」ではなく「トモシエ」なのか。
「パートナー」という言葉は便利だ。その利便性ゆえに、どこかビジネスライクで無機質な響きに聞こえてしまうことも。私たちが求めているのは、もっと生活の実感に近く、体温を感じさせるような言葉ではないだろうか。
「トモシエ」と呟いてみても、まだまだ馴染みが薄い。それでも、新しい概念や考え方は、言葉に付随して少しずつ広まっていくもの。既存の結婚観や恋愛観という色に染まっていないからこそ、フレマやフレマガが目指す純粋な関係性を、そのまま託すことができると考えた 。
また「シエ」という音には、「支え合う」「分かち合う」「話し合う」といった、日本語の“〜しあう”という相互のリズムが宿っている。一方向ではない、二人で対等に積み上げていくイメージが、この三文字には込められている。
トモシエと生きる未来へ

フレマは、決して「友情結婚をしたい人」だけに開かれた場所ではない。
制度に縛られない、生涯支え合える相手を探している人。ひとりで生きていく暮らしに、ふと不安を感じている人。はたまた、自分とよく似た価値観を持つ仲間と出会いたいと願っている人。そうした切実な想いを抱える人たちが、安心して集い、思いを共有し合える場でありたいと考えている。
そのためにフレマでは、性的関係を目的としないこと、本人・年齢確認を徹底しながら、自然な出会いが生まれるためのコミュニティ機能やイベントの場を整えてきた。
条件で人をふるいにかける出会いではなく、一人の人間として向き合い、思いを少しずつ育てていく出会い。そんな関係構築の仕方こそが、世界に広まっていくといい。
「トモシエ 〜友と歩む、これからの暮らし〜」。試しにこれからは、「パートナーを探す」のではなく、「私のトモシエを探す」と言ってみてほしい。その一言が、これまでよりも少しだけ肩の力を抜き、あなた自身のこれからの暮らしを、やさしく思い描くきっかけになるはずである。
まだ生まれたばかりの言葉ではあるが、フレマに集う皆さんとともに、「トモシエ」という概念を、大切に育てていきたい。
あなたの人生を静かに、そしてあたたかく照らしてくれるトモシエとの出会いが、ここから始まることを、心から願っている。





