「家族を持つ＝結婚する」そんな常識を、私たちは長いあいだ刷り込まれてきました。けれど、いざ自分の人生に当てはめてみると、しっくりこないと感じる人は少なくありません。
家族は欲しいけれど結婚するのは違う。その気持ちは決して特別でも、間違っているわけでもなく、むしろ自然なこと。だって、結婚以外にも家族を持つ方法はいくらでもあるのだから。
大切なのは「結婚をしないなら家族を持てない」と思い込むのではなく、自分にあったつながりを見つけること。
結婚に違和感があっても「ひとりで生きていくしかない」わけではありません。結婚にとらわれずに家族を築くためのいくつかの方法を一緒にみていきましょう。
家族を持ちたい。だけど結婚はしたくない。
「恋愛して結婚するのが普通」と言われ続けてきた社会で育つと、「なぜ自分は結婚に乗り気になれないのだろう」と悩むことがあるかもしれません。
周囲が次々に結婚していき、取り残されたような気持ちになることもあるでしょう。
家族は持ちたいけれど、結婚はなにか違う。その違和感は決しておかしなものではありません。むしろ、今の自分の感覚に正直である証拠です。
結婚はあくまでも家族を持つ手段のひとつであって、唯一の答えではありません。
歴史をさかのぼれば、結婚のカタチや意味も時代とともに変わってきました。
「家同士の結びつき」として機能していた昔の結婚像と、「愛する人と対等に暮らす」という現代の結婚像では大きく違います。
大切なのは、「違和感を抱きながら無理に結婚して家族を持つ」のではなく、自分にあった家族のカタチを探すことなのです。
ペットと暮らす小さな家族の温かさ
家族を持ちたいけれど、結婚するのは違う気がする。そんなときに、ひとつの選択肢になるのがペットを迎えることです。
犬や猫、小鳥やウサギ……どんな動物であっても、一緒に暮らすことで生活にリズムが生まれ、心に温かさが満ちていくでしょう。
ペットは言葉を話しませんが、その存在自体が帰りたいと思える場所をつくってくれるはずです。
ペットと暮らすことの魅力は、見返りを求めない関係にあります。私たちがどんな状況にあっても、無条件で寄り添ってくれる。
そんな信頼感や安心感は、人間同士の関係では得にくいものでもあります。
もちろん、命を預かる責任は重く、簡単な選択ではありません。旅行や引っ越し、病気など、ペットとの生活には現実的な制約もつきまといます。
それでも、ペットとの暮らしを選ぶ人が増えているのは、「結婚しなくても家族をつくれる」という確かな実感を得られるからでしょう。
ペットを迎えることは、結婚と同じように「日々を共に過ごす相手ができる」という意味で、「家族を持つ」という行為だといえます。
友人と構築していく家族
家族を持つ別のカタチに、友人とのシェアハウスがあります。単に家賃や光熱費を抑えるためだけのものではありません。そこには「生活を共にする仲間」という新しい家族像が存在します。
友人と暮らすことの魅力のひとつは、対等な関係性。結婚生活では「夫なら」「妻なら」という特定の役割が期待されることが多い反面、友人同士の暮らしではそのしがらみがありません。
料理が得意な人がご飯をつくり、掃除が苦手な人はゴミ出しを担当する、というようにお互いの得意不得意を補い合える自由さがある。
また、シェアハウスでは「ひとりではない安心感」と「自分の時間の確保」を両立しやすいのもメリット。
完全にひとり暮らしだと寂しさを感じる瞬間があるかもしれませんが、同居人がいればちょっとした会話が日常に彩りを与えてくれます。
かといって四六時中一緒にいる必要はなく、距離感を保ちながら暮らせる。
もちろん、シェアハウスにも課題はあります。生活習慣や価値観の違いでぶつかることもありますし、将来ずっと同じ人と暮らせるかどうかはわかりません。
それでも「血のつながりがなくても、選んだ仲間と家族になれる」という考え方は、多様な家族観を広げる大切な選択肢のひとつです。
「家族」には色んなカタチがある
家族とは本来「血縁関係にある人」「結婚した相手」だけを指すものではありません。日常で支え合い、安心感をくれる相手であれば、十分に家族と呼べるのではないでしょうか。
たとえば、長年の友人同士が互いに老後を支え合ったり、最近では「パートナーシップ制度」を利用して同性のカップルが共に生活したり……
「結婚」という法律的な枠組みには入らなくても、そこには確かに家族の姿があります。
また、地域のなかで支え合う関係も「家族的なつながり」といえるでしょう。
近所の人が困ったときに助け合ったり、趣味の仲間と定期的に集まったりすることも、「ひとりではない」という実感を与えてくれるはず。
つまり、家族を「法律上の単位」ではなく「心のよりどころ」として考えることで、結婚せずとも自分にとっての家族を築くことはできるのではないでしょうか。
自分だけの家族のカタチを見つけよう
結婚するかどうかは人生の大きな選択ですが、それが唯一の「家族を持つ方法」ではありません。
ペットと暮らすことも、友人とシェアハウスすることも、血縁や婚姻に縛られない関係を育むことも、すべてが立派な家族のカタチ。
大切なのは「自分にとって安心できるつながりは何か」を考えることです。
世間の常識や周囲の圧力にあわせて無理に結婚する必要はありません。むしろ、自分にとって心地よい関係を築くことが、長い人生においてはるかに大きな意味を持つはずです。
「家族＝結婚」という固定観念から1歩外に出てみると、多様な選択肢が広がっています。
結婚しないと幸せになれないわけではありません。あなたが「ここが自分の居場所だ」と思える関係性こそが、かけがえのない家族になるのです。
結婚という枠組みに縛られず、自分だけの「家族のカタチ」を見つけてみてください。
