「結婚して一人前」「女性の幸せは結婚・出産」——世間では結婚することが幸せの絶対条件のように語られています。
けれど、そんな価値観に違和感を覚え、「結婚したいわけではなく誰かと支え合いたいだけ」と思うこともまた自然なこと。
そんなときに思い浮かぶのが、阿佐ヶ谷姉妹です。2人は結婚という枠組みに縛られず、互いを思いやりながら支え合う、結婚とは違う幸せのカタチをみせてくれています。
そんな2人の姿は私たちに新しい選択肢を与え、自分らしくいていいのだと気づかせてくれるはず。阿佐ヶ谷姉妹の関係性から、人生をともにするカタチはもっと自由であっていいという視点を探っていきましょう。
「結婚するのが当たり前」という価値観に違和感を覚える
多くの人は子どものころから、「いずれは結婚するもの」という価値観を刷り込まれてきたように感じます。
たとえば、絵本の王子様とお姫様、親戚の集まりで繰り返される「いい人はいるの?」という質問、職場の歓送迎会での「早く結婚したほうがいいよ」なんていう冗談——
これらの言葉は、表面的には軽い会話の一部かもしれません。しかし、積み重なるうちに「結婚しなければ自分は未熟なままなのではないか」という無意識のプレッシャーを生み出してしまう。
けれども、現代社会は急速に変化しています。結婚した夫婦が必ずしも幸せになるとは限りませんし、離婚率は高まり続けている。ライフスタイルも多様化し、結婚よりも仕事や趣味、あるいは1人の自由を重視する生き方を選ぶ人も少なくありません。
「結婚するのが当たり前」という価値観に覚えるその違和感は、いたって自然なもの。なぜなら「幸せのカタチ」は決してひとつではないからです。
結婚しなくても心が満たされる生き方は確かに存在し、それを体現しているカタチのひとつに「阿佐ヶ谷姉妹」のようなパートナーシップがあります。
阿佐ヶ谷姉妹にみる幸せのカタチ

阿佐ヶ谷姉妹は、もともと赤の他人。劇団東京乾電池という演劇集団の研究所で出会い、お笑いライブ出演をきっかけにコンビを結成しました。その後、エリコさんの誘いで共同生活が始まったといいます。
共同生活を続けるなかで、2人は家族とも友人とも恋人とも違う独自の関係性を構築しています。
会話をしたり、一緒に食事をしたり、相手が困っているときは手を差し伸べたり、何気ない日常にみえるかもしれません。しかし、2人のあいだには相手を思いやる愛情や支え合う友情、色んな感情でつながっているように感じます。
もちろん性格的・性質的な違いはあるけれど、互いの違いを認めながらも共通点をすり合わせながらともに生きていく。
そんな2人のやりとりには、結婚生活にありがちな「役割分担に縛られる窮屈さ」や「異性関係に絡む嫉妬や不安」がありません。必要以上に干渉はせず、けれども困ったときには支え合う、そんな絶妙なバランスです。
阿佐ヶ谷姉妹のような関係の背景には、「この人といると楽しいから一緒にいる」というシンプルさがあります。その自然さが、私たちの心を惹きつけているのかもしれません。
「共生」という選択肢を持ってみる
「1人で生きるのは不安だけれど、結婚したいわけでもない」という人にとって、阿佐ヶ谷姉妹のような関係性は希望になるのではないでしょうか。
結婚という枠組みに入らなくても、一緒に生活して、支え合えるパートナーを見つけるのもひとつの選択肢。
たとえば、親友同士のシェアハウス。同性同士で事実婚状態の同棲。老後は友人と同じマンションの別の部屋に住む——どれも結婚とはまた違うパートナーシップのカタチです。
最近では「パートナーシップ制度」を導入する自治体も増え、法律上の結婚ではなくても社会的に2人の関係が認められる仕組みも広がりつつあります。
こうした選択肢を視野に入れることで、「結婚か孤独か」という2択から解放されるはず。阿佐ヶ谷姉妹のように互いの生活を尊重しながら寄り添う関係性は、現代社会における新しいパートナー・家族のあり方といえるのではないでしょうか。
「結婚しない自分」を肯定するためのヒント
「結婚がすべてじゃない」「阿佐ヶ谷姉妹のような関係性もアリ」——そうわかっていても、結婚しない自分を受け入れるには勇気が必要かもしれません。
周囲からの視線、親からの期待、自分自身のなかに染み込んだ固定観念が、無意識に不安を生み出すからです。
大切なのは、「結婚しないこと=孤独」という思い込みを手放すこと。
結婚していても孤独を感じる人はいて、結婚していなくても人間関係に恵まれ幸せに暮らす人は大勢います。孤独かどうかは婚姻関係の有無ではなく、どんな関係性を築いているかによって決まるはず。
さらに、「自分にとっての幸せが何か」を考えることも自分を肯定するためのヒントになります。結婚よりも自分を幸せにしてくれる何かを見つけられれば、おのずと自分の選択に自信を持てるのではないでしょうか。
それは「誰かと暮らすこと」かもしれないし、「1人で趣味に没頭すること」かもしれない——結婚を前提にせず、自分にとって幸せを感じる時間の使い方や人との関わり方を意識してみてください。
阿佐ヶ谷姉妹のようにパートナーと笑って支え合う人生を

結婚という制度は、人生の幸せを保証してくれるものではありません。これからは「誰とどんなふうに生きるか」を一人ひとりが自由に選んでいい時代。
その選択肢のひとつとして、阿佐ヶ谷姉妹のように笑って支え合うパートナーシップを築くことがあってもいいと思うのです。
結婚に違和感を持つことは、決してわがままではありません。むしろ「自分らしい幸せ」を真剣に考えている証拠。他人の期待にあわせるのではなく、自分の心に正直に生きる——それこそが、自分にとっての幸せを実現するための唯一の方法でしょう。
阿佐ヶ谷姉妹のように結婚という世間一般の価値観にとらわれず、ただ「一緒にいて楽しいから」という理由で支え合う。そんな人生のパートナーが1人でもそばにいれば、きっと未来は明るいのではないでしょうか。





