結婚して、子どもを持ち、老後は家族に囲まれて穏やかに過ごす———そんな生き方がかつては「当たり前」とされてきました。
しかし、近年でその「当たり前」になんだか違和感を覚える、そんな人が増えているように感じます。
あなたは「結婚しないと老後孤独だよ」「子どもを持たないと将来困るよ」といった言葉に、モヤモヤした経験はありませんか?
結婚や子どもを持つことは本当に老後の安心につながるのか、世間一般の価値観にとらわれず、一緒に考えていきましょう。
「家族がいれば安心」は過去の話
ひと昔前までは、家族という単位が生活の基盤となっていました。親が年をとったら子どもが面倒を見る———そんな家族のカタチが当たり前に語られていた気がします。
しかし、近年では少子化や核家族化が進み、くわえて不景気な世の中。このような背景から、その「当たり前」は変わりつつあります。
たとえば、共働きが一般化しているように、家族内でも互いが自立した関係を望む人が増えました。また、生前整理や終活をおこなう高齢者が増えているように、親世代も子どもには迷惑をかけたくないと考える、そんな時代です。
つまり、「結婚して子どもを持っておけば老後は安心」という考え方は、当たり前ではなくなりつつあるのです。
「結婚や子どもを持つこと=安心」って誰が決めた?
それでも、「結婚しないと老後が寂しいんじゃない?」「子どもがいないと孤独になるよ」といった言葉が、私たちを不安にさせることがあります。
これは、「結婚や子どもを持つことが当たり前」という世間一般の価値観が根強く残っているからでしょう。家族や友達、職場の同僚など、身近な人からもそのような価値観が刷り込まれることだってあります。
たとえば、「“幸せな老後”を絵に描いてください」といわれたとき、家族団らんをイメージして絵を描く人が多いような気がしませんか?
このような世間一般の普通や理想が、あなたを不安にさせているのかもしれません。
しかし、結婚したからといって老後の生活が豊かになったり華やいだりするとは限らない。夫婦の関係が冷え込んだり、子どもとの距離感に悩んだりすることもあるでしょう。
このように、世間一般の普通に沿って生きていても、あなたの不安が完全に消えるわけではないのです。
あなたの不安を解消するためのヒント

結婚したいのか、子どもを持ちたいのか、それとも老後が不安なのか———この3つをすべて分けて考えることがあなたの不安を解消するヒントになるはずです。
結婚や子どもを持つことは、あくまで選択肢のひとつ。老後の不安を解消するための保険ではありません。
では、あなたのその不安はどこからきているのでしょうか。孤独?健康?金銭面?それとも、周囲の期待に応えられないことへの焦りですか?
たとえば、孤独に不安を感じるのであれば、信頼できる友達と定期的に会う機会を作ることが安心につながるかもしれません。
また、金銭面に不安が残るのであれば、早いうちに資産形成をおこなったり年金や保険の見直しをしたりすることで、不安を解消できる可能性があります。
不安の種類によって解決策は違うもの。自分が抱える不安の正体を具体的に言語化してみると、必要以上に「結婚=解決策」と結びつけずに済むかもしれません。
結婚しなくても子どもを持たなくても、安心は積み重ねていける
老後の安心を得るための選択肢には、結婚や子どもを持つことだけでなく、他にもたくさんあると考えています。
たとえば、信頼できる友達を作ること、地域のコミュニティに参加すること、経済的な自立を意識すること、小さな趣味や日常を楽しむこと———安心は、世間一般の普通に頼らなくても、自分らしいカタチで積み重ねていけるものです。
近年では、趣味や価値観が合うシングル同士でシェアハウスやグループホームなどの新しいライフスタイルも登場してきています。
今はSNSで誰かの生き方やライフスタイルを覗ける時代。でも、誰かと比べて焦るのではなく、自分なりのペースで心地よい生き方を選んでいいのです。誰かの「こうあるべき」ではなく、あなただけの「こうありたい」を大切にしてください。
結婚も子どもも選択肢のひとつ、老後の保険ではない

結婚や子どもを持つことは、人生を豊かにする選択肢のひとつ。「老後の不安を消す唯一の方法」ではありません。
あなたが何に安心感を抱くのか、どんな老後を過ごしたいのか———世間一般の価値観にとらわれず、自分で自分に問いかけてみてください。
「とりあえず結婚しなきゃ」「結婚したら次は子どもだよね」なんて思わなくてもいい。結婚しなくても、子どもを持たなくても、あなたなりの安心できる未来は作れます。
誰かにとっての普通に沿って生きていくのではなく、あなたにとって必要な人間関係や準備を少しずつ築き、積み重ねていくことが、きっとあなたの不安を解消してくれるでしょう。