近年、結婚しても子どもを持たない夫婦が増えてきています。
この家族のカタチが「DINKs(ディンクス)」。しかし、これまで「結婚したら子どもを持つ」という価値観が強かった日本では、DINKsという選択が正しくないように思えることも…幸せのカタチは人それぞれなのに、どの選択が正しいなんてあるんでしょうか?
DINKsの魅力に迫り、自分らしいライフスタイルを実現する選択肢のひとつとしてDINKsを深く探っていきましょう。
DINKsって何?
DINKs(ディンクス)は、「Double Income No Kids(ダブルインカムノーキッズ)」の略称。「Double Income」は共働きを意味し、「No Kids」は子どもを持たないことを意味します。つまり、DINKsは共働きで意図的に子どもを持たない夫婦のこと。一般的には、夫婦がそれぞれ働きながらも、子どもを持たないために、自由な時間と経済的な余裕を楽しんでいるとイメージされます。
DINKsという言葉はアメリカで生まれ、最近では日本にも少しずつ広まってきました。これまで「結婚したら子どもを持つ」という価値観が強かった日本において、DINKsという選択肢が少しずつ広まっていることは、現代の価値観が変化しているともいえるでしょう。
DINKsを選択する夫婦は増えている

近年、日本ではDINKsの割合が増えています。ある調査によると、夫婦のみ世帯(=子どもを持たない夫婦)が、1995年から2020年までに762万世帯から1069万世帯へと増えていることがわかっている。この調査では、夫婦が共働きであるかは定かでないものの、少なくともDINKsは増えているといえるでしょう。
これまで、結婚後は子どもを持つことが当たり前という価値観が浸透していました。しかし、DINKsの選択肢が広がると同時に、結婚後のライフスタイルも多様化。今後もDINKsはさらに増えていく可能性があるでしょう。
参考記事:日本の世帯数の将来推計(全国推計)の概要
DINKsの魅力に迫る
DINKsの魅力は、なんといっても「自由な時間」と「経済的余裕」。子どもがいないことで、夫婦は自分たちらしい自由なライフスタイルを実現できます。それぞれの趣味や自己成長に時間やお金を費やせる。共働きであれば、両方の収入を活かし、より質の高い生活を送ることができるでしょう。
また、子どもがいないぶん育児や家事の負担が少ないため、夫婦はお互いに多くの時間を共有できる点も魅力のひとつ。これにより、夫婦間のコミュニケーションが増え、互いの愛情や信頼関係が深まることもあります。
そして、「子どもがいるから」という理由でなにかを諦める必要もありません。例えば、休日に本当は美術館に行きたいけど、子どもを喜ばせるために動物園に行く。子どもを持つ夫婦にとってはよくあることかもしれません。だけど、DINKsでは子どものための選択肢は必要ない。このように、自己実現しやすい環境もDINKsの魅力のひとつでしょう。
DINKsを選ぶ?気づいたらDINKs?
基本的にDINKsが指すのは、共働きで“意図的に”子どもを持たない夫婦。しかし、気づいたらDINKsになっていたというケースもあるのです。
あえて子どもを持たない選択をした夫婦は、経済的な理由や夫婦それぞれのキャリアなどを考慮した結果、育児や教育に対するコストや負担を避けるため、意図的にDINKsを選択します。
一方で、「子どもを持つタイミングを逃した」「妊活をしたものの子どもを授かることができなかった」など、気づいたらDINKsだったという夫婦もいる。ただ、このような夫婦のなかには、子どもを持てなかったものの自分たちの生活に満足し、DINKsというライフスタイルに抵抗を感じない場合も多いといいます。
いずれにせよDINKsは、それぞれの夫婦が自分たちらしい幸せを実現するために重要な選択肢のひとつといえるでしょう。
「結婚=子ども」じゃないことに気づいて
DINKsの夫婦やDINKsを選択肢のひとつとして考える人が直面する悩みのひとつは、社会的な期待や価値観。日本では長期にわたって「結婚したら子どもを持つ」という価値観が浸透していました。そして、その価値観は今でも残っている。そのため、結婚して子どもを持たない夫婦は、ときに周囲からのプレッシャーを感じることがあるのです。
例えば、親から「早く孫を見せてほしい」と言われたり、友人から「子どもはいつ?」と聞かれたり…こうした価値観に直面すると、DINKsという選択肢が正しくないものに思えるかもしれません。しかし、DINKsを選ぶことで、自分たちの幸せの実現につながる人がいる。自分たちの人生をどう生きるかは、他人の価値観に左右されるべきではありません。
「結婚=子ども」という価値観は残っていますし、実際にそれが幸せだと感じる人もいます。ただ、今は「自分にとっての幸せが何か」に目を向けてみましょう。
自分らしいライフスタイルを選べる時代へ

「結婚したら子どもを持つ」という価値観は残っているものの、固定観念にとらわれる時代ではなくなりつつあります。多様な価値観が認められるようになり、自分らしい生き方を選べる時代。
そして、DINKsも、自分らしい生き方を実現するための選択肢のひとつです。
もし、DINKsという選択が自分にとって幸せをもたらすのであれば、それがあなたにあった選択。他人の期待や社会的な価値観にとらわれず、自分らしくいられる選択は何かを考えてみましょう。