「結婚したら子どもを持つのが当たり前」「子どもがいてこそ一人前」——そんな価値観に違和感を覚えたことはありませんか?
多様な生き方がようやく認められつつある現代でも、「子どもを持たない」という選択には、まだどこか説明を求められるようなプレッシャーを感じることがあるかもしれません。
しかし、実際には子どもを持たない人生を選ぶ人は増えていて、その背景にはそれぞれの価値観や悩みがあります。
子どもを持たない選択をする人の背景にどのようなものがあるのか、一緒に考えていきましょう。
子どもを持たない人生を選択する人は年々増えている
世間にはまだまだ「子どもを持つことが人生の正解」のような空気があるかもしれません。けれど、実は子どもを持たない人生を選択する人が年々増えていることを知っていますか?
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、「子どもはいらない」と考える未婚者は1割を超えました。また、既婚者においても子どもを持たないことが理想と考える割合は4.3%、子どもを持つ予定がない割合は5.7%にものぼります。
そして、未婚者においても既婚者においても、子どもを希望しない割合は年々増加傾向にある——このように、子どもを持たない選択は、決して珍しいことではなくなってきているのです。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第Ⅰ部 独身者調査の結果」
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第Ⅱ部 夫婦調査の結果」
子どもを持たない選択をした背景は人の数だけある
子どもを持たない選択をした背景や理由は、人の数だけあるもの。経済的な不安から諦めた人、身体的な理由で諦めざるを得なかった人、そして“意図的に”子どもを持たない選択をした人——本当に人それぞれだと思います。
では、“意図的に”子どもを持たない選択をした人の背景・理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
時間やお金に余裕を持ちたいから
子育てには、想像以上の時間やお金がかかります。食事や洋服にかかるお金だけでなく、保育園の送り迎え、学費、習い事……実際に子育てをしていると莫大な時間とお金が割かれるでしょう。
もちろん、子どもにかかる時間やお金を「投資」と捉える人もいます。しかし、「自分たちの時間をもっと自由に使いたい」「趣味を楽しみたい」「老後のために貯金をしたい」といった思いも、決してわがままではありません。
自分の人生の充実度や将来の安心を考えたとき、子どもは持たない選択をした人は少なくないはずです。
夫婦だけの時間を楽しみたいから

「夫婦2人でいることが心地いい」「子どもを育てるよりパートナーとの時間を楽しみたい」——最近ではこんな声も増えてきたような気がします。
恋愛結婚でも友情結婚でも、結婚のカタチに関係なく「人生のパートナーと出会えたこと」は宝物で、その満足感のなかで「子どもを持つ」よりも「夫婦の時間を大事にしたい」と感じる人が増えているのです。
特に現代では共働き世帯が増えてきました。共働きの家庭では、お互いが忙しいからこそ、限られた時間をどう過ごすかはとても大切。そのなかで、子どもを持つことがそのバランスを崩す可能性があると感じることもあるかもしれません。
子どもが苦手だから
子どもが苦手だからという理由は、なかなか口にしづらいと感じている人も多いのではないでしょうか。「赤ちゃんの泣き声が苦手」「子どもとどう接していいかわからない」「責任が重すぎて怖い」——そんな思いを抱える人は少なくありません。
でも、実は「子どもが苦手」という理由は、とても誠実なもの。
苦手なものを「好きにならなければならない」と思い込んでしまうと、無理が生じます。特に子育ては一時的なものではなく、長期的な責任を伴う——つまり、自分の正直な気持ちを受け止め、それをもとに人生を選ぶことは、むしろ誠実な選択だと思うのです。
子どもに関する不安や悩みを持ちたくないから
「子どもが病気になったらどうしよう」「どう教育すればいいんだろう」「子どもが将来ちゃんと生きているか不安」——このように、子育てをしているとさまざまな不安や悩みが生じるもの。
だからこそ、子どもに関する不安や悩みを持ちたくないからと子どもを持たない選択をする人もいます。
「親になるには覚悟が必要」と言われることがありますが、逆に言えば、覚悟が持てないから親にならないことを選ぶのも、勇気ある選択のひとつ。悩んだ末に「子どもを持たない」と決める人の姿勢は、決して消極的でも、無責任でもありません。
性行為ができない、もしくはしたくないから

もっとも語られにくい理由のひとつですが、性行為ができない、もしくはしたくないという理由で子どもを持たない選択をする人もいます。
これは子どもを持たない選択をした背景のもっと奥にある背景——病気やトラウマ、セクシャリティなど、さまざまな要因が考えられます。
ただ、現代には性行為を伴わずに子どもを持つ方法もある。もし「性行為ができるなら子どもを持ちたい」と思うのであれば、「子どもを持たない」とは違うあなたにあった選択肢があるかもしれません。
子どもを持たない選択の先にも幸せがある
子どもを持たない選択をした背景・理由は、人の数だけあって、そのどれもが個人の人生を真剣に考えた結果として生まれたもの。子どもを持つ人生が、すべての人にとっての幸せではなく、それぞれの選択が尊重されるべきだと考えています。
「結婚したら子どもを持つ」「親になって一人前」——そんな世間がいう正しさではなく、自分らしさを大切にしていい時代です。あなたがどんな人生を望むのか、その問いと誠実に向き合ってみてください。