恋愛や結婚をしない生き方も、一人でも楽しく暮らしていく価値観も、「多様性」という言葉が浸透したこの時代においては一定以上、受け入れられるようになってきた実感があります。それでも、いや、そのうえで、やはり思わざるを得ない。多様な生き方、暮らし方が受容されるようになったからこそ感じる、自分なりの生き方を模索していく難しさ。
世間や常識に流されず、自分にとって心地よい暮らし方を考え、それを維持し続けるためには、どうしたらいいんだろう? 恋愛しない&結婚しない生き方をするうえで重視したい4つのことについて考えてみました。
自己理解がすべての出発点
やっぱりどうしたって切り離せない、ここからスタートするな、と感じるのは「自己理解」。人それぞれの正解がある時代だからこそ、まず一番大切にしたいのは「自分がどう生きたいのか」をはっきりさせることです。
恋愛や結婚に興味がない理由って、きっと人それぞれ違います。誰にも邪魔されずに一人で過ごす時間が何よりも至福な人もいれば、他者との深い関係性が苦手なだけの人もいるでしょう。
たとえば、ブランドもののバッグやアクセサリーにはそもそも興味がないのに「なぜ欲しくないの? こんなに素敵なのに?」っていきなり詰め寄られたら、驚くし戸惑いませんか? だって別に興味ないし。それなら同じ分だけのお金を推し活やライブの遠征費に使いたいわ、と思う人だっている。とてもよくわかる。
私の場合だと、「誰かと暮らすこと」自体がしんどいというわけではありません。実際、もうかれこれ6〜7年ほどシェアハウスで、他者と共同生活をしていますから。
自分なりに分析してみると、きっと私は「恋愛特有のルールや駆け引きに疲れてしまうタイプ」なんですよね。付き合うとか結婚するとか、そういうことよりも、そもそも自分一人でも心地よく楽しく過ごせているから、そのテリトリーを優先して守りたいというか。
そんな風に、自分の「楽」と「苦」を区分けして、丁寧に見つめ直すこと。そういった自己理解の時間が、ひとりで生きていく人生をより快適に整えていく、最初の一歩だと思います。
自己肯定感を育てる方法
とはいえ、世間の目や周囲の声って、なかなか手強いですよね。鋼のメンタルで無視しきれればいいんですが、そう上手くはいかないときもある。恋人がいる、結婚している、そういう「他者にとってもわかりやすい幸せのカタチ」が示せないと、ついつい自分の価値まで下がったような気持ちになる瞬間もあります。
だからこそ、自分だけの「好き」をたくさん持つことが大切だと思うんです。私の場合は、やっぱり週末のソロ活。美術館や博物館巡り、カフェや本屋さん巡り、一人旅、映画館でハシゴ鑑賞……誰に気を遣うでもなく、自分のペースで行きたい場所へ行き、見たいものを見る。そうやって「自分一人でもこんなに楽しめる」と感じる幸福な時間を増やすことで、自然と自己肯定感も育っていったように思います。
自己肯定感、という言葉も、最近はあまりよく受け取られなかったり、言葉だけ一人歩きしすぎてイメージが悪くなっていたりするかもしれません。
でも、シンプルに考えたい。自分で自分を「良し!」と思える感覚って、唯一無二なんですよ。ただの自己満足だし自給自足だし、究極、どうしたって他者からの肯定や受容が必要なときもあるかもしれない。それでも、「あ〜、自分のこういうとこ、良いな」となんの作意もなく思える瞬間、私は大事にしたいなと思う。
推し活や趣味もおすすめです。自分の時間を充実させることで、誰かに依存しない「満たされた心」がつくれるからです。
周囲との心地よい距離感のつくり方
いろいろ書いてきたけど、それでもやっぱり「完全にひとりで生きる」のは、やっぱり難しい。だけど「誰かとずっと一緒な人生」も、正直疲れる……。そんなときに思い出したいのが、ほどよい距離感のある人間関係です。
私の場合、シェアハウスでの暮らしがその役割を果たしています。必要なときにだけ話せて、普段はお互いに干渉しない。そういう関係性が、とても心地良い。
学生時代に比べて、大人になったいまのほうが、友達づくりも意識的にしています。昔は「気が合わないかもしれない」と不安で動けないことも多かったですが、いまは趣味にまつわるイベントや読書会、マッチングアプリの友達募集機能なども活用しまくり。無理なく自然体で話せる人と出会えたら、月イチくらいでお茶をするだけでも十分です。
そして、必要以上に踏み込まれたくないときは、きっぱり線を引くことも忘れずに。自分の快適さを優先する勇気も、とても大切です。
経済的な安心を手に入れるために
最後に、忘れてはいけないのが「お金」の話。
恋愛や結婚をしないと決めた以上、老後も含めて自分ひとりで生きていく前提で経済設計を考える必要があります。私はフリーランスのライターとして働きつつ、ライティング以外の仕事も取り入れていますが、いずれ仕事量を減らしたくなる日がくるかもしれません。
だからこそ、いまから積立NISAやiDeCoといった資産運用を始めたり、保険を見直したりしています。また、無理なく続けられる働き方——週3勤務や短時間労働など、柔軟な選択肢を常に考えています。
「自分の生活を守れるのは自分だけ」。これは決して重荷や負担などではなく、自立した生き方を支える安心材料だと私は思います。
恋愛しない、結婚しない。それは決して「諦め」ではなく「選択」です。
大事なのは、どんな生き方を選ぶかよりも、その選択をした自分をどう肯定していくか。そして、無理なく、心地よく、ひとり時間も誰かといる時間も楽しめる自分でいること。一人で生きる未来に、怖さよりも自由を感じられる。そんな日々を、これからも積み重ねていきたいと思います。