「今日は恋愛モードじゃない」:日替わりで変わるセクシャリティをどう受け止める?

恋愛モードじゃない 恋愛じゃない

「今日は恋愛モードじゃないな」

ふと、そんなふうに思う日がある。昨日までは「誰かと話したい」「人に会いたい」と思っていたのに、今日はどうしても一人でいたい。スマホに届いた“恋人”からのLINEを開くだけで、少し胸がざわつく。返信をしなきゃと思いながらも、なぜか手が動かない。

そんなとき、「私って、人より恋愛感情が薄いのかな」と不安になる。さらに困るのは、家族や友人と話していて、当たり前のように恋愛観トークの流れになったとき。恋愛を前提にした“普通”の会話のなかで、私の感覚はいつも少しズレている。

最近では、自分は「グレーセクシャル」なのかもしれないと感じるようになった。恋愛や性的な感情を持つ日もあれば、まったく湧かない日もある。その揺れを「不安定」とか「中途半端」と言われることもあるけれど、本当にそうなんだろうか。

恋愛感情の“波”との出会い

私がこの恋愛感情の“波”に初めて気づいたのは、学生時代だった。友人たちが常に誰かに恋をしていて、その話題で盛り上がっているのが普通の世界。私自身も「恋をするべきだ」「常に恋愛モードでいるのが当たり前」という無意識のプレッシャーを感じていた。

社会人になってからも、それは大差ない。周囲の結婚や恋愛の話を聞くたびに、自分だけが遅れているような、変な焦りを感じることがあった。

ある日は「すごく人恋しい、誰でもいいから手をつないで歩きたい」と思うのに、翌日には「誰にも触れられたくない、一人でいたい」と強く感じる。この振れ幅は、まるで永遠に降りられないジェットコースターに乗せられたようで、自分はやっぱりどこかおかしいんだ、と不安にすらなった。

恋愛のハウツー本を読んでも、SNSで恋愛テクニックを漁っても、恋愛YouTuberの動画を見ても、この日々の感情の揺らぎを説明してくれるものはなかった。

そんなとき、友情婚について知ったり、ご縁あってセクシャルマイノリティの方が集まるイベント運営の仕事をしたりするようになった。そこで出会った人たちが、「日によって恋愛モードに差があるんです」とごく自然に話していたのを聞いて、私はそっと救われたような気持ちになった。

そうか、私だけじゃなかったんだ。この感覚に、名前はついていなくても、同じように感じている人がいる。その事実が、私を長年の孤独から解放してくれた。

社会に説明しづらい“曖昧さ”

曖昧さ

とはいえ、この感覚を他人に説明するのはとても難しい。

日によって恋愛感情や性欲に揺らぎがある、と言うと「じゃあ本当は恋愛できない人なんだね」と一言でまとめられてしまうこともある。あるいは「いつか運命の人に出会えば変わるよ」と励ましのように見えて、どこか否定のニュアンスを含んだ言葉が返ってくることも。

世間はどうしても“ラベル”を求める。ストレートか、ゲイか、バイか。結婚するのか、しないのか。子どもを持つのか、持たないのか。白か黒かをはっきりさせたがる。けれど、私の感覚はそのどちらでもない。グレーゾーンで曖昧に揺れている。

「グレーセクシャル」という言葉に出会ったとき、やっと自分の心に名前をつけられたような安心感があった。説明しやすくなったことで、周囲に理解を求める一歩を踏み出せたのも事実だ。

ただ、言葉を使ったからといってすぐに分かってもらえるわけじゃない。「そんなの気のせいじゃない?」なんて、笑われてしまうこともある。

それでも、名前を持つことは大きい。自分の感覚が社会のどこにも当てはまらない、という孤独から解放されるだけで、呼吸がしやすくなるのだ。

「恋じゃない好き」も大切にできる関係性

恋愛や結婚だけが、人を愛する形じゃない。私たちが築く関係性は、もっと多様で、自由なはずだ。恋人に対する「好き」と、友人や家族に対する「好き」は、同じ「好き」でも質が違う。どちらが優れているわけでも劣っているわけでもない。

フレンドシップ、友情婚、シェアハウス、そしてオンラインコミュニティ。こうしたさまざまな関係のなかに、安心できる居場所を見つけることができる。

そこでは、「まず信頼関係を築いてから関わりたい」「急なスキンシップは苦しい」といった、一見すると恋愛関係ではタブー視されがちな声も、尊重される。むしろ、それは相手への誠実な気持ちの表れじゃないだろうか。

たとえば阿佐ヶ谷姉妹のような、血縁や恋愛に頼らないけれど深く結びついた暮らし方。ドラマ『恋せぬふたり』が代表するフィクション作品が新しい“愛”の形を描いてくれるのは、既存の価値観を揺さぶって、もっと自由な未来を想像する手助けになる。

揺らぎを受け入れることは、自分を愛すること

揺らぎ

毎日の気分や感覚の波は、決して「ブレ」ではない。それは、私を形づくるかけがえのない一部なのだ。他者に説明できなくても、まずは自分自身が「今日は恋愛モードじゃない日なんだな」と認めてあげること。それが、心の安定に繋がる第一歩。

無理に世間の恋愛や結婚のレールに自分を合わせなくてもいい。安心できる関係を築く力は、もともと誰でも持っているもの。誰かを大切にしたいという気持ちと、ひとりの時間を愛したいという気持ち。どちらも等しく、揺るぎない本当の私の気持ちなのだ。

「今日は恋愛モードじゃない」。そうつぶやきながらも、「誰かと一緒にいたい」と素直に思う日もある。その両方の感情をありのままに受け入れることで、自分自身をがんじがらめにしていたセルフ圧から解放される。そして、自分らしい幸せのかたちを選び取る勇気が湧いてくる。恋愛だけが幸せの基準ではない。そう心から思えるようになったとき、私は本当の意味で、自分を愛せるようになった。

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